2014年11月14日金曜日

コーヒーを飲む人は顔のしみが少ない


 医療従事者を対象としたSNSやWebsiteのようなものがいくつかあり、その中で時々医療と関係ない方にもたぶんとても興味深いだろうという情報があります。今回ご紹介するのはそのようなものの一つで紹介されていた、お年を召してくると気になる顔のシミについてです。ここに出てくるポリフェノールとは、コーヒーや赤ワインに含まれているもので、抗酸化作用を持つ物質の一つです。酸化とは一言でいえば『錆』の事、ポリフェノールは体内の錆を防ぐ大切な物質です。その情報源の中身をご紹介しましょう。

 日本人中年女性131名を対象とした検討の結果、コーヒーおよびポリフェノール摂取量が多い人ほど顔のシミが少ないことが明らかにされた。ネスレ日本の福島洋一氏らが報告したもので、「コーヒーは、日焼けによる皮膚の老化の予防に役立ち、クロロゲン酸を含むポリフェノールにはシミにみられる色素過剰を減じる可能性があると思われる」とまとめている。International Journal of Dermatology誌オンライン版2014年7月11日号の掲載報告。



 研究グループは、健康な日本人中年女性のコーヒーおよびポリフェノール摂取の皮膚への影響を調べるため、食事、環境要因、皮膚の状態について断面調査を行った。各被験者の頬で、皮膚の含水量、経表皮水分蒸散量および弾力性を非侵襲的方法(=体に危害を加えない方法)で測定し、デジタル写真を用いてしわとシミの評価を行った。



・試験には、健康な非喫煙で、日常生活における日光への曝露は中程度の30~60歳女性131名が参加した。アンケートにより食事、飲料摂取、生活状況を調べた。

・コーヒーと総ポリフェノール(全ソースおよびコーヒーから)の摂取量は、シミの評価スコアの低下傾向と統計的に有意な相関を示した

・コーヒーまたはクロロゲン酸からの総ポリフェノール摂取量が高値である被験者(三分位最高位群)は、紫外線によるシミの評価スコアが最も低かった

・以上のように日本人中年女性において、コーヒーおよびポリフェノール摂取は顔のシミと関連していた。



 さて、以上ご紹介したように、コーヒーは美容に良いと考えていいでしょう。しかし過ぎたるは及ばざるがごとし。バルザックと言う小説家は毎日50 杯以上の濃いコーヒーを飲む習慣を持っていましたが、51歳で亡くなりました。朝起きるとコーヒーを牛飲し、夜遅く執筆、そして疲れを押して社交界に出入りし、馬食したということです。



 晩年(と言うほど高齢にはなりませんでしたが)、その大喰らいのために糖尿病になり、失明、そして腹膜炎で死亡しました。いくらコーヒーがお肌に良いと言っても、そんな生活をまねてはいけません。虎は死して皮を残す。バルザックは死して小説を残しましたが、膨大な借金も残しました。やはり真似てはいけません。



 余分なことかもしれませんが、付け加えておきます。この研究を行った人がネスレ・ジャパンの社員だとの事、ネスレ社は本邦において《違いが分る男の》インスタント・コーヒーを販売しています。その会社の社員がコーヒーは体にいいよという研究論文を発表したのですから、その結果について多少のバイアスがかかっていたと見るほうが妥当かもしれません。理論的に考えて妥当性のある結果ですので、疑ってかかるのは若干神経症的な態度かもしれませんが、研究を公明正大にしようと思うと、そんなところも引っかかってくるのです。



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