2018年1月10日水曜日

自分の健康を守るために

あけましておめでとうございます。

 年末から年始にかけて多少羽目を外した、という方は決して少なくないと思います。食べ物とアルコールに関してのことです。お酒を体の許す範囲を超えて飲み続けると、肝機能に異常が発生します。肝臓は沈黙の臓器で、よほど悪くならないと自覚症状が出ませんので、4週間にわたってお酒を飲みすぎたとしても、自覚症状の方はほとんどないと思います。しかしそれを何年も続けると、はっきり自覚症状が出てくるのですが、その時点では回復がほとんど見込めず、移植などの手段が残るだけです。血液検査では、自覚症状が出るよりもかなり前に異常値を記録するようになります。

 塩辛いものを(ドクターストップを無視して)食べ続けると、高血圧だとか腎機能の悪化などがはっきりと検査に表れてきます。ごはん、お餅、そば、うどん、それに芋類を食べすぎると血糖値が上昇し、人によっては血糖値スパイクと言われる短時間の超高血糖が見られるかもしれません。こうしたことがあなたの、そして私の健康をむしばんでいきます。だから摂生をするという事は、急に襲ってくる腹痛や頭痛から身を守るというより、知らず知らずのうちに忍び寄る生活習慣病を予防するということになります。

 でも、同じものを食べても人によって血糖値が異常に高くなる人がいると思えば一方ではほとんど血糖値の変動がない人もいる、そういった事実があります。ほとんど脂っこいものを食べていないのに、高脂血症、高コレステロール血症に悩まされている人がいるかと思えば、毎日卵を数個食べているのに平気な人もいます。こうしたことは同じものを食べても身長が高くなる人がいる一方で体重にだけその食べ物の効果が表れる人がいるのと同じ理屈、つまり個体差です。

 あなたの体は何を食べたらどうなるのか、そうしたことはなかなかわかりません。仮におなかが痛い、という理由で病院を受診しても前日に何を食べたか、その中の何かが悪さをしたのではないか、そうしたことがあまりはっきりしないのです。中には食べ物の中身や量を控えめに報告する方もいるでしょう。覚えていないという人もいないとは限りません。ましてや、生活習慣病では毎日の暮らしの中で、何が問題か、そういったことを一番(心の底で)自覚しているのはご本人でしょうから、そうした健康管理はご自身で行うのが一番いいのです。

 そうした御要望に応えるべく、当院でミニドックを始めることにしました。その内容はドラッグストアなどで最近行われるようになった検査と同様なものですが、検査用の機械は一台ずつ、わずかに結果が違ってきます。誤差という奴ですが、我々が慣れ親しんでいるのは当院の検査機器です。何か非常事態というべき結果が見られた場合、その場で当院を受診して医師の診断を待つということが町のドラッグストアでの検査と大きく異なる点です。そしてドラッグストアでの検診結果を解釈するには、病院のスタッフも多少とも時間がかかります。その機械の誤差が原因です。

 どのような検査をどのようなコストで実施するか、それは近日発行する「スマイル」で確認してください。この度のミニドックですが、せめて毎年一度は自分の健康状態を知っておこうという趣旨で始めることにしたのですが、健康に興味のある方は2か月に一度という割合で検査を続けるというのもありです。その場合、例えば肝機能の指標がだんだん上昇していることから、このあたりでお酒の量を減らした方がいいといったことが誰にでも分かるようになるというのも大きなメリットです。

 これは診療科の受診ではありません。単に来院者の方の血液を少し取らせていただいて、その検査結果をお返しするというだけのことです。検査結果の詳しい解釈などをご要望でしたら、診療科を受診していただく必要がありますので、その点はくれぐれも誤解のないようにしてください。